異常なまでに教育的な作品『ここは今から倫理です。』を是非皆さんのお目にいれたい

ひっしゃのコラム
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漫画を甘く見ないで下さい。


「こんなもの見ちゃいけません!」

 どんだけ子供の判断能力を見くびってるんだ、アンタは。教育上良くないという理由で、排他的な扱いを受けがちな漫画。教育なんて言い始めたら、もうドラえもんすら怪しいじゃないですか。ドラえもんに頼ってばっかで一向に成長しないのび太と、それを甘やかし続けるドラえもんは野放しにしていいの?だから土曜5時に移ったの?本当にもう子供も民法も何もかも信じられない悲しきピエロなんですね。そういう親はPTAを生き甲斐にしてふんぞり返ってろ。

 自分は、こういう多くのうちの一個がダメだったらもう全部ダメみたいなツラする人間が本当に嫌いです。ずっとジェンガの後半戦でもやってんのか。


 さて、オカンのマンガ弾圧に対する悪態も尽き飽きたところなので、そろそろ本題に入ります。今日の話は、そんなオカン共に読んでもらいたい、『ここは今から倫理です。』という漫画。ホントに、水戸黄門の「この紋所」バリの勢いでお目に入れて差し上げたい。

なかなか近寄り難い、倫理。

 あのー、倫理の授業って覚えてます?

 そう、あのソクラテスだのプラトンだのアリストテレスだの小難しい横文字のネーミングのオッサンが登場しては、目まぐるしく人生について格言を残していく学問です。あの学問、今考えたら凄いよな。悪いこと言わないから、その辺の得体の知れないセンパイの『オレの持論』聞く暇が2時間あるなら、アリストテレスについて10分調べた方がいいよ。すげーもん、アイツら。

 と、ワタクシがこんなところで小言垂れても誰もやらないじゃないですか。だからせめて、これを読んでくれって言いたいんだよ。

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ストーリー設定は?

 このストーリー、主人公の高柳先生という高校教師が悩める高校生達を倫理の力で救っていく話なんですけど。


「はいはい、ベタな学園青春ものね。」って思っただろ、今。


 私も苦手です、テンプレの学園青春もの。ああいうエモーショナルな学生にエモーショナルな教師が助けに入って、「お見事!更正しました!」っていうエンディングを迎える、松岡修造の最大2倍セールみたいなストーリーを見ると疲労困憊して一日寝込みます。もうそういう体力。

 でも、このストーリーの何が違うかっていうと、主人公の高柳先生が常に冷静沈着なんですよね。そして、一遍一遍がもう、倫理の授業になってる。高校生だけに関わらず、誰もが持つ人間的な弱さってあるじゃないですか。「自分は誰にも分かってもらえない」とか、「こんなに我慢してるのに」とか、「純粋に寂しい」とか、メンヘラワガママ女子高生極まりないそういう感情。そういう誰しもが持つ弱い部分を写し出して、それを救えるような言葉がたくさん乗ってる。

 倫理で教えらえるような言葉っていうのは、授業の中でそれ単体で見せられてもなかなか理解し難いんですけど。ストーリーに乗って高柳先生が偉人の言葉を吐き出すことで、それに解釈がのっかった状態で提供されるので、「あ、この言葉ってこういう時に心の支えになるのか」ってとても府に落ちるワケです。

最大の面白み

 そして、このストーリーの最大の面白いところは、『自分の中の正しさ』を疑わずには読み進められないところ。 

 本当に残念なことだけど、現実には想像以上に、誰かに助けを求めたい時に、人生が退屈な時に、期待以上はおろか、期待通りの言葉をかけてくれる人なんてなかなかいない。面倒なことに関わりたくないからだ。人の話を聞いて理解してあげようなんて、たいそう労力のいることだ。だから、『自分の正しさ』に必要以上に執着することになる。

 ただ、この漫画に出てくる高柳先生という人は、どんな面倒なことにも、真摯にぶつかって行く。面倒なことに関われば関わるほど、それが自分の人生経験にもなって、考える領域を増やしてくれるからだ。そんな面倒なことに関わる面白さを教えてくれる漫画だ。

『誰もが自分の視野の限界を、自分の視野の限界だと思っている』

というドイツの哲学者の言葉が、この話の中に出て来る。本当に、その通りだと思う。他人への想像力を持った人間が、一番美しいと思う。だから個人的には、他人に接することの価値も、他人の著作物に向き合う価値も、「今まで考えなかったことを、考えさせてくれる」以上のものはないと思っている。そういう意味では、この漫画は本当に素晴らしい作品だ。

でも言葉なんて、しょせん言葉だ。

 この作品を通じて、たくさんの偉人の言葉に出会うことが出来るけど、自分は結局、言葉が人を救ったりすることなんて無いと思っている。漫画が下らないと思われるのは、結局何も変わらないから。生産性が無いからだ。

 本当にそうだと思う。実際は変わらない。人間がどんなに気持ちを込めて、どんなに熱狂して作った作品でも、何かを変えることなんていうのは、本当に叶わない。

 でもこの漫画は、手に取ったそこのあなた一人が、この漫画を利用して、自分で自分のことを変えられるような力は持っていると思う。この漫画を見返して、弱気になった時に自分自身で自分を救えるようなこともあると思っている。


 高校生の頃なんて倫理にまともに向き合おうともしなかった人も、今読んだら全然違う向き合い方を出来るかもしれません。

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)






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